製作施工にあたっての技術的特徴について

塗装は、あえて吹付けでなくローラーやハケ塗りで何度も「ぼったり」と塗り重ね、箇所によっては多少下地を荒らすなどして、スチール、FRP、ウレタン樹脂などの各種材質を同一素材に見せ、かつ『鋳物(いもの)感』を出す事を心掛けました。
仕上げはエージングと呼ぶ塗装手法。入り隅みの陰影や面のくすみ、雨だれや錆だれ、すすなどの汚しも若干加え、リアルさと重厚感を出しました。

巨大アンカー他 船上の艤装品は、短期間での製作・重量による構造負荷の軽減・かつリアルな仕上がりという条件を満たすため、EPS(難燃性発泡ポリスチレン)+PG(難燃性硬質ウレタン樹脂成形)工法で製作しました。
発泡スチロールをNCマシンにより削り出し、ポリガードと呼ぶ硬質ウレタン樹脂を吹付け成形する事で、上記条件をクリアする製品が完成しました。

舷側は三次元曲面であり、壁面としての構造計算をクリアしつつ三次元曲面を形成してゆく材質は、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)が最も良いと判断しました。
細かな三次元壁面ポイントをCADデータで作成、それに基づき下地となるキール(竜骨)構造を木下地のFRP成型にて製作。FRPパネルで壁面を仕上げてゆく工法を採りました。
建設で苦労した事(設計も含めて)
船体は三次元の曲面に構成された形状でこの美しい曲面を表現する為の図面を船体線図といいます。一般に建築図で立体を表現するには平面図側面図正面図等で作成しますが複雑な船体表面を表現するには上記の図面を組み合わせてなお、船体表面を1枚の図面上に表現した船体線図が必要になります。
今回主体構造である鉄骨を船体線図に当てはめて鉄骨の形を作成し、なおかつ構造計算上も成り立たせるという最初の設計作業に時間がかかりました。
実際現場が始まりますと図面上で成り立っていた船体線図が実際の鉄骨図と合わない箇所があり、美しい曲面を表現する為に鉄骨を何度か変更して現場を進めました。また、日本の戦艦が建造された時代はほとんどが溶接技術ではなく、鋲(リベット)接方式だった為、現在の建築の溶接技術に見えない様に化粧をする施工方法にも時間がかかりました。
史実に忠実にどのように再現したか
三笠は明治35年にイギリスの造船所で竣工され、特に日本海海戦においては歴史的な勝利に大きく貢献し、佐世保での事故の後に修理され第一線に復帰し、海上防衛に尽くしましたが、太平洋戦争後に連合軍によって艦橋、マスト等の上甲板構造物が全て撤去され、その後横須賀にて復元されています。
日本海軍の戦艦はほとんどが英国海軍の定められた様式でしたので、資料として残っている図面もメートル縮尺ではなく、フィ−トインチ法でした。三笠は船体形状に何度も変遷があった船であり、今回の日本海海戦時の三笠の図面として、現存している物はありませんでした。
残されている写真等より時代考証していただき、横須賀に現存している各パーツの実測などひとつひとつを調べて寸法を決めていきました。また艦船独特の装置の使用される状況を教えていただき、航海時と戦闘時の違い等を考慮の上、撮影時にも支障がない様に再現していきました。
施設名称変更のお知らせ
※今現在「戦艦三笠ミュージアム」は「三笠オープンロケセット」に名称変更となっています。
予めご了承下さい。






